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月別アーカイブ: 2025年5月

第12回地盤改良工事雑学講座

皆さんこんにちは!

 

株式会社Cleyera Fukuoka、更新担当の中西です。

 

 

 

地盤改良工事の鉄則:安全・安心・信頼を守るための5つの心得

 

 

 

前回は地盤改良工事の歴史についてお話しました。

今回はその続編として、**現代の現場で守られている「地盤改良の鉄則」**について、実務経験をふまえた視点で一般的な市場での動向を基にお伝えします。


◆ 鉄則①:地盤調査なくして、改良計画は立たない

 

地盤改良の最初にして最大のポイントは、**「正確な地盤調査」**です。調査が甘ければ、改良設計も施工もすべてが誤った方向に進んでしまいます。

  • スウェーデン式サウンディング試験(住宅地)

  • ボーリング調査(中高層建物)

  • 表面波探査や動的貫入試験(補完調査)

 

など、用途や地盤の特性に応じた方法を適切に選び、土質・N値・地下水位などのデータを正確に把握することが、すべての出発点です。


◆ 鉄則②:改良工法の選定は「万能」ではなく「適材適所」

 

地盤改良にはさまざまな工法がありますが、「これさえやっておけば安心」という万能な方法は存在しません。地盤の種類、改良深さ、建物の規模、近隣状況などをふまえて、“その土地に合った最も合理的な工法”を選ぶ必要があります。

たとえば:

  • 軟弱層が浅い→表層改良

  • 中間層まで軟弱→柱状改良

  • 地下水位が高い→湿式柱状改良より乾式が有利

  • 地盤が強固→改良せず基礎の工夫で対応も

 

この「判断力」が地盤改良業者の技術力の真価とも言えるでしょう。


◆ 鉄則③:セメント系改良材の選定と管理は厳格に

 

柱状改良や深層混合処理工法では、主にセメント系固化材が使われますが、この選定と管理が非常に重要です。

  • 適切な水分比率で混合しないと固化不良が起きる

  • 地中のpHや有機物含有量が固化材の性能に影響

  • 改良後のコア抜き検査で強度不足が発覚するケースも

 

つまり、「混ぜたら終わり」ではなく、施工後まで含めた品質管理が必要です。信頼できるメーカーの材料を選ぶことも重要です。


◆ 鉄則④:近隣への配慮を忘れない

 

地盤改良は地中で行う作業が多いため、「目に見えない=気付かれにくい」工事とも言えます。しかし実際には、

  • 振動・騒音(打設機、混合機)

  • 地盤からの湧水や掘削残土

  • 粉じんやトラック搬入出による道路汚れ

 

など、地域住民への影響は意外と大きいものです。事前説明、作業時間の配慮、防塵・防音対策などを徹底することで、信頼される施工業者としての評価が高まります。


◆ 鉄則⑤:「見えない工事」だからこそ、施工記録を残す

 

地盤改良は完成後に直接目で確認できないため、記録とデータ管理が極めて重要です。

  • 測定データ(深度・強度・混合量)

  • 材料ロット管理

  • 工事写真の時系列記録

 

これらをきちんと整備し、引き渡し時に提出することで、後々のトラブルを防ぐだけでなく、施主に安心を提供することができます。


【まとめ】

 

地盤改良は、「建物を建てるための準備」ではなく、「安心して暮らすための最初の一歩」。その工事には、高度な知識、経験、そして“信頼をつくる意識”が必要不可欠です。

今後ますます「災害に強いまちづくり」や「地盤安全対策」が重視されるなかで、地盤改良の役割と責任も、より大きくなっていくことでしょう。

次回もお楽しみに!

 

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第11回地盤改良工事雑学講座

皆さんこんにちは!

 

株式会社Cleyera Fukuoka、更新担当の中西です。

 

 

地盤改良工事の歴史:日本の建設を支えてきた縁の下の技術

 

 

 

今回は、建物を安全に支えるために欠かせない「地盤改良工事」の歴史について一般的な市場での動向を基に掘り下げてお届けします。

地盤改良とは、住宅や建物などを建てる前に、地中の軟弱地盤を強く安定させる工事のこと。人々が「安心して暮らせる土地」をつくるうえで、なくてはならない工事なのです。


◆ 地盤改良の始まりは“自然との格闘”だった

 

日本は地形・気候の特徴として、

  • 湿地や低湿地帯が多い

  • 地盤が粘性土で柔らかい地域が多い

  • 地震が頻発し液状化リスクが高い

 

といった課題を多く抱えています。昔は、建物を建てる際に地盤の良し悪しはあまり考慮されず、「杭を多く打ち込む」「石を敷いて地盤を固める」といった経験的な方法に頼る時代が続いていました。

特に昭和30年代以前は、まだ土木工学が一般に浸透しておらず、「沈下して初めて問題になる」ことが珍しくなかったのです。


◆ 昭和後期:都市化の進展とともに高まった地盤への意識

 

高度経済成長期に突入すると、日本全国で住宅地開発・ビル建設・道路整備などが急ピッチで進みます。そのなかで次第に問題化してきたのが、

  • 建物の傾きや沈下

  • 地震による地盤の液状化

  • 地下水のくみ上げによる地盤沈下

 

など、地盤そのものが建物の安全性に大きく影響するという事実でした。

この頃から土質工学・地盤工学の研究が進み、1970年代には「柱状改良」「表層改良」「深層混合処理工法」など、現在にも通じる地盤改良の基礎技術が実用化され始めます。


◆ 平成以降:多様化・高層化する建物と新工法の登場

 

1990年代以降は、都市部の再開発や高層建築の増加に伴い、より高度で高精度な地盤改良が求められるようになりました。とくに、

  • 小規模住宅向けのスクリュー・プレス式改良杭

  • 大型建築物向けのジェットグラウト工法

  • 環境配慮型のセメント非使用型改良材

 

など、工法の選択肢が増え、「対象地盤に合わせた最適な改良設計」が当たり前の時代になりました。

また、阪神淡路大震災や東日本大震災を契機として、「液状化対策」や「災害に強い土地づくり」の観点でも、地盤改良の重要性が強く認識されるようになりました。


◆ 地盤改良は「建物を支える前に、命を支える工事」

 

地盤改良は、建物を建てるための「準備工事」に見えるかもしれませんが、実はその土地に住む人々の生活基盤をつくる工事でもあります。万が一、地震が発生した際にも、「地盤がしっかりしているかどうか」で被害の大きさがまったく変わってくるのです。


【まとめ】

 

地盤改良工事は、戦後復興から都市の高層化まで、日本の発展とともに進化してきました。次回は、この地盤改良工事で「失敗しない」「信頼される」ために守るべき鉄則を、現場目線で詳しくご紹介します。

次回もお楽しみに!

 

 

 

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