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第15回地盤改良工事雑学講座

皆さんこんにちは!

株式会社Cleyera Fukuoka、更新担当の中西です。

 

~多様化~

地盤改良工事は、建物や構造物の安定を支える「縁の下の力持ち」として、建設現場では欠かせない存在です。かつては「軟弱地盤の補強」として限られた工法が使われていましたが、現代では多様なニーズに応えるべく、その技術とサービスは著しく多様化しています。

地盤改良工事における多様化の実態と、背景にある社会的・技術的変化について深く掘り下げていきます。


1. 工法の多様化:地盤特性と用途に応じた選択肢の拡大

従来の地盤改良工法は限られた方式に集中していましたが、現在では以下のような多種多様な工法が選択可能となっています。

● 表層改良工法

浅い地盤の強化に適しており、住宅などの軽量構造物で多く使用されます。コストと施工時間に優れ、戸建て住宅市場で主流。

● 深層混合処理工法(柱状改良)

掘削不要で機械的に地盤中に改良体をつくる方法。マンション・工場などの中規模建築物に対応。

● 鋼管杭・プレキャストパイル

高支持力を必要とする現場で多用され、即時施工・品質安定が求められる大規模現場に適応。

● ジオテキスタイル・グラウンドアンカー

土留めや斜面安定にも対応。盛土、擁壁工事、インフラ整備で重要な役割を果たす。

● 低騒音・低振動工法

都市部や既存建物の隣接地において、住環境や既存構造物に配慮した特殊工法が台頭しています。


2. 対応分野の拡大:住宅から災害対策、再開発まで

地盤改良はもはや「建物を建てる前段階の作業」だけにとどまりません。用途の多様化が進み、以下のような分野にまで広がっています。

  • 災害復旧・防災工事
    地震や水害の被災地で、地盤の液状化防止や緊急改良が実施されることが増加。

  • 都市再開発・インフラ整備
    古い都市インフラの更新に伴い、既存構造物を活かしながらの地盤改良ニーズが高まっています。

  • 再生可能エネルギー設備の基礎
    風力発電や太陽光パネルなどの基礎において、環境に配慮した地盤改良が求められています。

  • 農地・斜面の安定化
    地滑り対策や棚田整備など、農業分野への応用も広がりを見せています。


3. 調査・設計の進化:地盤データの可視化とAI活用

地盤改良の多様化には、事前調査や設計技術の進歩が大きく関係しています。

  • ボーリング調査+物理探査の融合
    地表・地下の地質状態をより正確に捉えるため、複数の調査手法を組み合わせるケースが増加。

  • 3D地盤解析・モデリングの普及
    地盤状況をビジュアルで再現し、最適な工法選定と施工計画を可能に。

  • AIによる地盤判定
    過去の施工データや地質データをAIで解析し、地盤リスクの自動評価を行う取り組みも始まっています。


4. 顧客層の多様化とマーケットの細分化

これまでの地盤改良はゼネコン・ハウスメーカーからの発注が中心でしたが、現在では以下のような顧客層にも広がっています。

  • 個人住宅の施主:自ら地盤調査・改良を依頼し、安全な家づくりを望む消費者が増加。

  • 地方自治体・公的機関:公共インフラ整備や防災プロジェクトでの発注が拡大。

  • 農家・林業従事者:山間部の開発・補強に対するニーズ。

  • 不動産デベロッパー:再開発案件での地盤補強、土壌改良への取り組み。

マーケットの多様化に対応するため、施工業者も営業・技術体制の柔軟な構築が求められています。


5. 環境配慮と持続可能性への対応

地盤改良もまた、脱炭素・環境保全の流れの中で変化しています。

  • 地盤改良剤の環境対応:六価クロムなどの有害物質が出ない改良材の開発が進行中。

  • 産業副産物の有効活用:製鉄スラグやフライアッシュなどを使ったサステナブルな改良材の利用。

  • 施工時のCO₂削減:施工機械の省エネ化や現場最適化による燃料使用量の低減。

地盤改良が“見えないところで環境を守る工事”として再評価され始めています。


地盤改良は今や「現場対応のプロフェッショナル」から「総合地盤ソリューション業」へ

かつては「同じような作業の繰り返し」と思われがちだった地盤改良工事。しかし現代では、技術、ニーズ、現場条件、そして社会的な要請の多様化により、極めて複雑かつ専門性の高い業種へと進化しています。

単なる“補強工事”から、都市づくり・防災・環境保全までを支える地盤の総合エンジニアリングへ。今後も、地盤改良業界は技術と発想の柔軟性を武器に、社会基盤の真の支え手として活躍の場を広げていくことでしょう。

 

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